【図解でわかる】母乳育児がうまくいく授乳姿勢とNG例|助産師が解説

母乳育児1 母乳育児
助産師ku-
この記事を監修した人:ku-(くー)
             
■助産師・保健師・看護師・整体師
■13年以上、母子保健や子育て支援に従事
■企業からの依頼で子育てや医療系記事を多数執筆。著書も出版

こんにちは!助産師 ku-(くー)です。

「母乳って自然にできるものだと思っていたのに、うまくいかない…」
そんな風に感じていませんか?

この記事では、赤ちゃんもママもラクになる授乳の基本姿勢を図とともにわかりやすく解説します。
正しい姿勢で授乳するだけで、たくさん飲めたり乳腺炎予防としても効果があるので、ぜひ一度確認してみてください。

1.これだけで楽になる!母乳育児の基本の抱っこ姿勢

下の図は、赤ちゃんが上手に母乳を飲み取りやすい抱っこ姿勢です。

赤ちゃんに母乳(左)をあげるときの抱っこの手順を詳しく説明します。

ステップ1:いすなどに座り、授乳用クッションを膝の上に置く

クッションはできるだけ高さがあるものを選ぶと良いでしょう。

目安は、図のように赤ちゃんが体ごとママの方向を向いたときに、赤ちゃんの顔の目の前におっぱいがあるくらい。赤ちゃんの方がやや高くなるくらいでも大丈夫です。(意外と高い!と感じる方が多いです)

クッションが低いとママが前かがみになっておっぱいを赤ちゃんの口に届くようにしなければならないので、肩こりや背中の痛みなどにつながりやすくなります。

もし、クッションが低くて前かがみになってしまう場合は、クッションの上にバスタオルなどを敷いて高くするといいでしょう。

ステップ2:赤ちゃんをクッションの上に寝かせる

赤ちゃんをクッションの上に寝かせます。このとき、図のように赤ちゃんのお腹とママのお腹が向かい合うようになることがとても大切です。赤ちゃんは横向きでおっぱいを飲む感じになります。

ママの右腕の内側で赤ちゃんの下半身を自分の脇腹に沿わせる(巻きつける)ようにします。

赤ちゃんが上手に母乳を飲み取りやすい抱っこ姿勢のポイント2

ママの左腕(肘の内側あたり)は赤ちゃんの枕にしてあげると調節しやすいかもしれません。(腕枕なしでもクッションに十分な高さがあれば大丈夫です。)
左腕の肘下から手のひらまでを赤ちゃんの背中に沿わせ、赤ちゃんが自分のお腹にくっつくように引き寄せると赤ちゃんの横向き姿勢が安定します。

右手は、赤ちゃんがおっぱいをくわえるときに左おっぱいを優しく持ち上げて乳首が赤ちゃんの口元にいくよう手伝うのに使います(ステップ3で詳しく説明しています)。赤ちゃんが上手にくわえたら、右手はおっぱいから離して楽にしていて大丈夫です。

ステップ3:赤ちゃんがおっぱいを深く含むのを手伝ってあげる

赤ちゃんが上手に母乳を飲み取りやすい抱っこ姿勢のポイント3

赤ちゃんがおっぱいを口に含んだ様子は上の写真の通りです。
ポイントは、アゴがおっぱいに押し付けら、鼻はおっぱいから離れるようにくわえることです。

赤ちゃんがうつむきながらおっぱいをくわえようとすると、鼻側がおっぱいに押し付けられ、アゴが離れてしまい上手に飲めません。逆に、赤ちゃんが上を向いてアゴを突き出すような角度でくわえると上手に飲みやすいです。
赤ちゃんが大きく口を開いたタイミングで、枕にしている左腕で赤ちゃんの頭をおっぱいに近づけるようにしてあげるとスムーズです。

同時に右手で左のおっぱいを支え、おっぱいの高さが赤ちゃんに合うように微調整してあげると良いでしょう。

ステップ4:上手にくわえられたら赤ちゃんのペースに任せよう

上手にくわえられると、赤ちゃんはそのまま少し待っていたり軽く吸うような動きをするなどして、母乳が出てくるのを待ちます。
母乳は、個人差はありますが、基本的には赤ちゃんがくわえたり軽く吸う刺激で作り始めるので、出てくるまでには数十秒程度かかることが多いです。

おっぱいが出始めると、大きく力強い口の動きで「ゴックンゴックン」という感じで飲み始めます。

飲んでいる最中も、アゴがおっぱいに押し付けられていること、赤ちゃんのお腹とお母さんのお腹が向き合ってくっついていることなどは変わりません。これらのポイントが上手くいっていると、乳首を深くくわえることができ、乳首が痛くなることの予防になります。

2.実はやりがち?授乳がつらくなるNG姿勢とは

下の図は、抱っこがうまくいっていない例です。
うまくいっている例との違いを見てみましょう。

赤ちゃんが母乳を飲み取りにくい抱っこ姿勢の例1

NGポイント(1)赤ちゃんの位置が低すぎる→ママの猫背、赤ちゃんの浅飲み

上の図では、授乳クッションなどを使っていないために赤ちゃんの位置が低すぎ、ママが前かがみになってしまっています。

前かがみで授乳を続けると、猫背、肩こり、背中の痛みなど、ママの体がつらくなってしまいます。1回の授乳時間は短くても、1日に何回も繰り返すことで悪い姿勢が定着しやすくなることにも注意が必要です。
姿勢は体形にも関係するので、「産後のお腹が気になる」「ダイエットしたい」という場合にもデメリットが大きくなります。

また、赤ちゃんの位置が低すぎておっぱいが遠くなってしまうと、乳首に十分に深く吸い付くことが難しくなり、「浅飲み(乳首を浅くくわえて飲む)」になりやすいです。

赤ちゃんがおっぱいに深く吸い付いているかどうかは、以下の画像を見比べてみるとわかります。浅飲みのときには口角に隙間が見えてしまいますが、深く吸い付いているときには隙間はありません。

赤ちゃんが母乳を飲み取りにくい抱っこ姿勢の例2

浅飲みには以下のようなデメリットがあります。

母乳を十分に飲み取れず、授乳量が足りなくなるリスクがある
母乳を十分に飲み取れず、飲み残しから乳腺炎になるリスクがある
母乳の飲み残しがあることで、分泌量が減ってしまうリスクがある
乳首に浅く吸い付いていることで、乳首が痛くなりやすい

NGポイント(2)赤ちゃんのお腹が上を向いている→上手に飲めず乳腺炎のリスク

赤ちゃんの体が上を向いてしまい、頭だけがママの方向を向いていると、赤ちゃんはおっぱいにうまく吸い付けません。
赤ちゃんの首がねじれてしまっていることで、母乳を吸ったり、吸いだした母乳を飲み込むことがしづらくなり、飲みづらいことですぐに疲れて寝てしまったりぐずったりすることも多くなります。

授乳中は、赤ちゃんが体ごと横を向き赤ちゃんのお腹とママのお腹が向き合ってくっついて足はママの脇腹に巻きつくようになるのが理想的です。

丸まった姿勢をとることで、赤ちゃんはパワフルに母乳を吸うことができます。十分な力で吸えると、短時間で必要な量を飲み取りやすくなったり飲み残しを少なくすることができ、赤ちゃんの成長にとって安心であることはもちろん、乳腺炎のリスクも減らすことができます。

赤ちゃんが母乳を飲み取りにくい抱っこ姿勢の例3

まとめ

母乳育児は、赤ちゃんとママのペースで少しずつ慣れていくものです。
今回ご紹介したように、授乳姿勢を見直すだけで、痛みが減ったり赤ちゃんの飲み方が安定したりすることもよくあります。

多くのママが最初は戸惑いながらも、日々の経験を重ねて “ ちょうどいい授乳 ” を見つけています。うまくいかないときは、姿勢や環境を少し整えてみたり、助産師など専門家に相談してみたりするのもおすすめです。

何よりも大切なのは、あなたが無理をしないこと。赤ちゃんと向き合う時間が少しでも心地よいものになるよう、あなた自身の心と体も大切にしてくださいね。

助産師ku-
この記事を監修した人:ku-(くー)
                       
■所有資格:助産師・保健師・看護師・整体師
                       
■自治体の保健センターや子育て支援センターなどで、13年以上にわたり母子保健業務に従事
                       
■妊婦教室・新生児訪問・乳幼児健診・母乳相談・発育発達相談・産後ママのエクササイズ教室を担当
                       
■子育てや医療分野を中心に70本以上の記事を執筆
                       
■企業からの記事執筆依頼も多く、SEO上位実績を多数保持

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